頭・顔・首
主訴
喉の痛み、咳
現代医学的所見・治療
喉頭部左右両側にがん発症。
左側は動脈に隣接する為、手術は出来ない。
大きさは両側とも1センチ程。
抗がん剤と放射線療法を勧められるが、副作用を懸念し拒否。
現代医学的な治療は全く受けず。
はり灸治療の経過
5ヶ月間免疫療法を続け、大きさは米粒大になり瘢痕化する。
医師は疑問を持ちながらも治癒を認める。
現在は結婚転居し、来院していない。
主訴
発熱による身体のだるさ。
幼少の頃から月に1回、2 ~ 3日間、39度台の高熱が出る。
現代医学的所見
幼少の頃は扁桃腺が腫れていることが原因と診断された。
成人し、埋没扁桃の疑いで検査をしたが、陰性。
その他さまざまな検査をしたが、発熱の原因は分からなかった。
はり灸治療の経過
約2年間、免疫療法を続けているが、過去1年以上、微熱は時々出るものの高熱は出ていない。
主訴
鼻閉(鼻づまり)、鼻汁、眼のかゆみ
症状の経緯
毎年1月下旬になると、鼻がむずむずしてくる。
3 ~ 4月には、鼻汁や涙が止まらなくなり、仕事に集中できなくなる。
薬は眠くなることが多いため、服んだり服まなかったり。
この4 ~ 5年は秋にも花粉症が出るようになった。
はり灸治療の経過
2月中旬から治療を開始。
3月中旬には鼻がつまることがなくなり、鼻汁の切れが良くなった。
半年間、免疫療法を継続した結果、秋の花粉症はほとんど気にならない程度になった。
主訴
めまい、耳鳴り、時に頭痛
現代医学的所見
耳鼻咽喉科の医師によれば、めまい・耳鳴りはメニエール症候群によるものと診断された。
はり灸治療の経過
免疫療法と頸椎への施術により、2ヶ月でめまい・耳鳴りは消失し、 頭痛の頻度・程度共に減少した。
このケースでは、メニエール症候群というより、 頸椎椎骨間の狭小化がめまい・耳鳴りの原因であったと思われる。
主訴
額と左頬の細かく数多くの発疹、かゆみはないが触れるとザラザラする。
現代医学的所見・治療
皮膚科では、老人性の発疹なので治ることはないとのことで、老人性の白にきびと診断される。
特に治療は行わず。
はり灸治療の経過
免疫療法を含めた美容鍼を半年間行ったところ、凹凸が強かった発疹は、数と範囲が減少し、凹凸は平面化した。
主訴
両頬のそばかすが広がってきている。
はり灸治療の経過
顔の美容鍼を2年間行い完全に消失した。
初めの3ヶ月間はほとんど変化がなかったが、4ヶ月目頃から右側のみ薄くなり始め、1年後にはほぼ消失していた。
右側と左側の治るまでの時間が異なりすぎた例である。
はり灸治療の経過
治療開始3ヶ月でしわの深さが浅くなり、しわ左右の隆起も減少し、 その周囲も軟らかくなった。
6ヶ月経過で、化粧により完全に隠れるようになった。
主訴
ジージーという左耳鳴り
現代医学的所見・治療
聴力検査では、左のみ低音域の一部が聞こえにくい。アデホスなどを処方され少し改善していた。
はり灸治療の経過
発症2週間後から免疫療法開始。2回の治療で、耳鳴りはほぼ消失した。治療後は耳の詰まりを感じたが一時的なものであった。
考察
耳鳴りは、発症後の治療が早ければ早いほど治療回数は少なくて済むが、何ヶ月か経ってから来院される方が多いのは残念である。
主訴
エアコンの室外機が回るようなブーンという耳鳴り
現代医学的所見・治療
左右共に、聴力検査では低音域の聞こえが悪い。特に左はほとんど聞こえていない。
初めのうちは薬を服用していたが、効果がないため服用しなくなった。
はり灸治療の経過
発症約1年後から免疫療法開始。半年経過で次のように改善した。
左耳鳴り:ブーンという音に切れ目はなかったが、音が切れて耳鳴りがしない瞬間ができた。
右耳鳴り:頻度も程度も減少し、音域がやや高音に移行。
左右で同時に耳鳴りすると、頭の中央で鳴っている感じがして辛かったが、それがなくなった分日常生活が楽になった。
考察
音に切れ目のない耳鳴りは容易には治りにくいが、治る前段階として音に切れ目が出現することが多い。まずはそれを目安として治療を進めたい。また、低音域の耳鳴りより高音域の耳鳴りのほうが治りやすい。
主訴
激しいのどの痛み
現代医学的所見・治療
大学病院を含め耳鼻咽喉科7ヶ所を受診したが、異常は見つからず。当然ながら治療なし。
はり灸治療の経過
免疫療法及び下位頚椎の調整を行った。5ヶ月後には、痛みは完全に消失した。
考察
本症は頸部の神経根にも原因があったものと思われる。のどの痛みが始まる前に、C6とC7の間の狭小化が指摘されていた。
このように、のどに症状があっても頚に原因がある可能性も見逃せない。
主訴
にきびによる発赤・膿(うみ)
現代医学的治療
皮膚科から処方され、数種類の薬を塗布しているが、効果はほとんど認められない。
はり灸治療の経過
はり治療に加え、吸玉によるカッピングを追加。
不定期ではあるが、1年間くり返し行ったところ、にきびは赤みを少し残すがほとんど消失した。
主訴
にきびの赤みとかゆみ
はり灸治療の経過
5ヶ月間の治療で、生理前後に一時的に出現するものの、赤みとかゆみはほとんど消失している。
主訴
ゲップ、腹部の膨満感
初診時の所見
腹部の緊張が非常に強い。学校生活での緊張もうかがえる。
はり灸治療の経過
2回の治療で腹部の膨満感は消失したが、ゲップは変化なし。
その後、月に1~2回の治療を半年間続け、ゲップも気にならなくなった。
考察
呑気症は、ストレスが原因のことが多く、ストレスが排除できれば治りやすいといえるが、ストレスが多い現代社会では、誰にでも起こり得ると思われる。
主訴
右眼周囲が常に細かくけいれんしている。右眼が周期的に閉眼し強く大きくけいれんする。
はり灸治療の経過
次のような経過を辿った。
1ヶ月後:ほとんど変化なし。
3ヶ月後:強く大きく閉眼する周期が長くなった。細かいけいれんは変化なし。
6ヶ月後:さらに強く大きい閉眼周期が長くなり、細かいけいれんが緩やかになった。
1年後:強く大きく閉眼することは無くなったが、細かいけいれんは続いている。日常生活は楽になった。
その後は、認知症を発症し来院できなくなってしまった。
主訴
左頭部、左眉上、左眼下、左頬上部の痛み
触れば激痛で顔を洗えない。
初診時の所見
左頚深部に強い硬結を触れる。乳様突起より下方へ圧痛あり。
乳様突起直下を圧迫すると痛みが軽減する。左顔面部に細かいけいれんが認められる。
はり灸治療の経過
施術後の痛みはいつも完全に消失するが、数日経つと痛みが戻ってしまう。施術回数を重ねるごとに戻りが弱くなり、顔も洗えるようになった。
しかし、仕事で同じ姿勢をとったり、ソファに寝てしまったりすると、悪化してしまうことがあるので注意が必要である。
主訴
朝起きるといつも頭痛があり、毎日鎮痛薬を服用している。
初診時の所見
頚部~肩背部まで板のように張っているが、自覚的には何も感じていない。
頚を曲げたり伸ばしたりすれば、張りを感じることはあるが...。
はり灸治療の経過
初回治療後の翌朝は頭痛がなかった。翌々朝には少し頭痛は出現したが、薬は服まずに我慢できた。
2回目以降は起床時の頭痛出現回数が減少し、4回の治療でほとんど出なくなった。
その後は、月に1~2回治療し、弱い頭痛は出ることもあるが、薬は服用せずに生活できている。
考察
頚や肩の凝りを感じない人は、比較的多いように思われる。
頚や肩の凝りがわからず放置してしまうと、頭痛以外にも、めまいや耳鳴りなどを発症することもあるので注意が必要である。
主訴
口を大きく開けると左顎関節が痛む。口の開閉で左顎関節部に音がする。大きなあくびをすると左顎が外れそうになる。
初診時の所見
左頚部側面~頬部外側にかけて張りが強い。左顎関節の動きが悪い。口をまっすぐに開けられない。
はり灸治療の経過
2回の治療で、口をまっすぐに開けられるようになり、口開閉時の音も消失した。口を大きく開けた際の左顎関節の痛みは残ったが、治療回数を重ねる毎に減少した。
大きなあくびをした際の左顎関節の外れそうな感じはいつの間にか消失していた。
上半身(胸・腹など)
主訴
左乳房のしこり
現代医学的所見・治療
画像診断により、がんは左乳頭下部に直径2.7センチあり、不定形で5センチ程に達している部分もあり。
StageⅡGradeⅠとの診断。
左乳房全摘出術・抗がん剤・ホルモン療法を行う予定となった。
現代医学的治療とはり灸治療の経過
手術1ヶ月前から免疫療法を開始。
がんは徐々に小さくなり、 摘出したがんは1.5 × 2センチとなっていた。
センチネルリンパ節には転移があり、左腋窩リンパ節はすべて摘出したものの、 本人の意思で抗がん剤治療は行わず、はり灸治療(免疫療法)とホルモン療法とを併用することになった。
手術後8年経過、定期検査で異常なし。
主訴
時に動悸・息切れ
現代医学的所見
健康診断では毎年、不整脈と診断され30年以上経過している。
血圧もやや高めだが、いずれも薬の服用なし。
はり灸治療の経過
6ヶ月間の免疫療法で不整脈は消失。
以降健康診断でも不整脈指摘されず。
血圧はまだ高めのため免疫療法継続中。
現代医学的所見
胃カメラでは特に異常所見なし。胃薬を処方してもらったが効果なし。
東洋医学的所見
腹部(特に上腹部)に緊張が強い。
不調なことを気にしすぎていることがうかがわれる。
はり灸治療の経過
免疫療法1回で自覚症状は消失した。
症状は戻りやすいことを説明し、 1ヶ月間治療継続。症状の戻りがほぼなくなった。
治療間隔を空けながら免疫療法を継続し、 症状が完全に出現しなくなったことを確認し終了とした。
主訴
登校前の腹痛、下痢、時に頭痛
症状の経緯
1年程前から登校前に腹痛、下痢が始まり、始めは週に1回程度だったが、次第に毎日訴えるようになった。
現代医学的所見
下痢止めを服用しても、ほとんど改善されなかった。
はり灸治療の経過
2回の治療で頭痛は起こらなくなったが、腹痛、下痢は変化なし。
1ヶ月後:腹痛はない日もあるが、下痢は変化なし。
2ヶ月後:腹痛はなくなったが、下痢は変化なし。
3ヶ月目に入ると、急激に下痢が止まり、逆に軽い腹痛が時々起きるようになった。
治療開始4ヶ月後、腹痛、下痢はほとんどなくなったが、本人の不安感はまだ残っている。
治療継続中に転居した為、その後の状態は不明。
主訴
右腹部の断続的な痛み
現代医学的所見・治療
エコー検査により、胆のうに数多くの細かい胆石が見つかる。
検査入院したが、胆のうを切除する方法以外ないと言われた。
はり灸治療の経過
退院後、初めてのうちは右腹部を訴えることが多かったが、徐々に緩解し免疫療法1年経過後、右腹部の痛みはほぼ消失した。
考察
胆石は、小さいものであれば、はり灸治療によって流れ出てしまうことが多い。
現代医学的所見・治療
健康診断で右下葉にがんが見つかる。StageⅠ。右下葉切除。
リンパに転移が認められ、StageⅡAに修正診断。抗がん剤治療を行った。
はり灸治療の経過
免疫療法を5年間継続。再発なし。その後も他部位の調整も含め、免疫療法を継続している。
主訴
動悸、胸苦しさ
現代医学的所見・治療
不整脈と診断されるが、しばらく様子見として治療なし。
はり灸治療の経過
2回の施術で不整脈は消失し、自覚症状もすべて改善した。
しかし、治療を止めると不整脈が出現するため、定期的に免疫療法継続中。
主訴
頭痛・嘔気・胃痛
症状の経緯
14歳のときに、頭痛と嘔気で学校を休みがちになる。症状は徐々に悪化し、食欲がなくなり、特に固形物が食べられなくなった。
現代医学的治療
鎮痛薬や胃薬を処方してもらうがほとんど効かず。安定剤も追加されたが効果なし。むしろ嘔吐する日が多くなった。
初診時の所見
上腹部と背腰部の広範囲に緊張が強い。頚~肩背部まで硬結が続いている。無理に頚を動かそうとするとめまいがする。
はり灸治療の経過
1ヶ月後には、治療のあとは何か食べられるようになった。その後、緊張や硬結は徐々に取れていき、3ヶ月後には外出することもできるようになった。1年後には、症状の戻りが少なくなり、日常生活が楽になった。2年後、薬はすべて中止し学校生活も楽しく過ごせるようになった。現在は、にきびなどへの美容鍼 も行っている。
考察
症状が軽減するまでに時間はかかっているが、着実に身体が変化し自信が持てたことを感じ取れた症例である。
手・腕
主訴
交通事故による激しい頚の痛み、両腕の痛みと痺れ 時に腰の痛み
事故の経緯
横断歩道を渡っている際、後方から自動車にぶつけられ、前方に転倒。
全身を強く打ちつける。
救急車にて病院に搬送される。
現代医学的所見
画像診断(CT・MRI)では異常がない為、痛みは続いていたが、特に治療を受けず帰宅。
初診時の所見
交通事故から3ヶ月後に来院。
頚側面(特に右側)の硬結が著しく、肩~腕の筋緊張が強い。
頚を動かすと激しい痛みが走り、腕の痺れが強くなる。
また、上腕二頭筋筋腹中央に大きなコブがあり触れるだけでも痛む。
はり灸治療の経過
施術後は、痛み・痺れ共に消失するが、翌日には戻ってしまう。
治療を重ねるごとに効果が持続するようになり、程度も軽減されてきた。
6ヶ月後には上腕のコブは小さくなり、痛みと痺れが少し残っているものの日常生活には支障がなくなった。
考察
整形外科3ヶ所に受診したが、いずれも異常なしと帰された患者の精神的ダメージは大きい。
交通事故の恐怖と医師の理解が得られなかったことで、不安・不眠などの精神的症状も現われてしまい、精神安定剤を服用するようになってしまった。
現在では、精神面の改善のために、免疫療法も行っている。
主訴
左右第3~5指 第1関節部の痛み・変形
初診時の所見
左右第3~5指第1関節は、内または外に曲がり始めている。これに加え、左第3指第1関節甲側には小豆大の軟骨が隆起している。
はり灸治療の経過
治療開始3ヶ月後には、関節の曲がり方が緩やかになり痛みは消失。
6ヶ月後には、小豆大の軟骨は骨に吸収され、隆起はほぼ消失した。
主訴
右第2指先端の強いしびれ 右第3~5指先端にも弱いしびれあり
現代医学的所見
MRIによれば、C5とC6の間、C6とC7の間に狭小化が認められる。
さらに、T4とT5の間にも狭小化あり。
初診時の所見
頚椎の生理的前弯が大きく、C6とC7の後方へのズレあり。
頚を後屈すると、肘から手指までしびれが強く出現する。
上位胸椎は後弯と右側弯あり。T4・T5の右脊柱起立筋硬結隆起あり。
はり灸治療の経過
右手指のしびれは10回の施術でほぼ消失した。ただ、頚を後屈するとしびれを感じることもあるので、できる限り上を見ないように生活してもらった。半年後には、何も気にせず日常生活が送れている。
主訴
右腕を挙げたり後ろに回したりすると、右肩関節に鋭い痛みが走る。
初診時の所見
右肩関節の可動域制限は大きく痛みも強い。上腕伸筋群の硬結が著しい。
右頚部側面の硬結も強く、頚回旋や左右側屈にも難あり。
はり灸治療の経過
施術後の可動域は大きくなるが戻りも早い。くり返し施術することで、痛みは消失し戻りも少なくなった。10回ほど施術した頃、今度は左肩関節の痛みと動きの制限が認められた。すぐに左肩関節関連部位に施術を追加。左肩関節は3回の施術で完全に治癒した。現在は、右肩関節のあと少しの可動域を元に戻すべく施術を行っている。
主訴
朝起きたら頚が痛くて動かせない。右腕にしびれがある。
初診時の所見
右頚前面~側面に硬結が著しい。右胸鎖乳突筋・右脊椎起立筋の硬結隆起が強い。頚を右にも左にも動かせない状態。
はり灸治療の経過
1回の治療で、ある程度頚は動かせるようになり、痛みも当初10→2になった。右腕のしびれは消失。
2回目:治療前の痛みは5まで戻っていたが、頚は動かすことが出来ている。施術後は5→1。
3回目:痛みの戻りもなく1→0となり治療終了。
考察
急性の疾患(寝違えやギックリ腰)は、1~2回の施術で治ってしまうことがほとんどだが、発症から日にちを空けてしまうと、治りは良くないこともある。
また、ストレートネックの方は、寝違えを起こしやすいので枕の選択は大切である。
主訴
左肩甲骨内側の凝りが強くなり、痛みになってしまった。
初診時の所見
患部を強く圧迫しすぎて、皮膚が茶色に変色している。左頚~肩にかけて張りが強い。左肩関節前面~腋窩にかけて圧痛あり。
はり灸治療の経過
患部の硬結はむしろ少なく圧痛もないため、頚部からのアプローチとした。初回、頚部からの治療のみを行ったところ、張り感は少し残ったが、痛みは9割方消失した。同様の治療法3回で張り感も含めてすべて消失した。
考察
頚の張りが強いと、頚より肩甲骨内側に凝りや痛みを感じてしまう人が案外多い。
肩甲骨内側をマッサージして楽になったつもりでも、すぐに戻ってしまうのである。
主訴
何もしなくても右肘がズキズキ痛む 2週間以上痛みが続いている。
初診時の所見
上腕~前腕の張りや硬結の左右差はほとんどない。右肘を屈しても痛みは憎悪しない。右頸部側面の硬結が強く、圧すれば右肘のズキズキした痛みが増す。
はり灸治療の経過
右頸部に軽く施鍼しただけで、右肘のズキズキした痛みはほとんど消失した。
1週間後の2度目の治療前には右頸部の硬結は緩んでおり、治療後には痛みも完全に消失した。2回の施術で著効を示した症例である。
主訴
左拇指に力を入れて動かすと、左拇指の付け根がズキンと痛む。
現代医学的所見・治療
レントゲンでは異常は見つからず。湿布の処方を受けた。
初診時の所見
左拇指の動きは悪くないが、力を入れて動かすと拇指~肘までの筋肉(伸筋群)の張りが異常に強くなる。ダンスやギターなどで左拇指を酷使してしまうらしい。
左手関節部は右側に比して、熱感と腫れがある。
はり灸治療の経過
1回の治療で、左拇指の付け根の痛みは9割方消失したが、モヤッとした重さと腫れぼったさが残った。
1週間後の2回目の治療を始める前でも痛みはほぼ戻っていなかった。2回の治療で残っていた症状はすべて消失した。
考察
筋肉を鍛えている人の痛みは、比較的少ない回数で治癒してしまうことが多い。
日頃から運動することや身体を鍛えることは大切だと改めて感じてしまう。
主訴
右肩後方のケロイド痕
現代医学的治療
ケロイド痕を治すために手術をくり返したが、さらにケロイド痕を悪化させてしまった。
はり灸治療の経過
1年半の治療経過後、ケロイド痕の赤みが徐々に消失し、隆起は平坦化した。また、大腿前外側にある生まれつきのアザ(7~8cm)も1cmほどになり、色も薄くなっている。
下半身(腰など)
主訴
生理痛、不正出血
現代医学的所見・治療
細胞診ではStageⅢA(異型細胞確認)の診断を受けた。
子宮全摘を勧められるが、本人の意志でホルモン療法(経口薬)のみを行った。
はり灸治療の経過
ホルモン療法後に来院。
細胞診StageⅢA ⇔ StageⅠ を約2年間繰り返したが(この間現代医学的な治療は行わず)、5年目では年1回の検診のみだが再発はない。
主訴
年に一度の定期検診での尿検査で潜血(3+)20年 タンパク(3+)3年
現代医学的所見
検診のたびに再検査を勧められるが、多忙を理由に受けたことがない。
はり灸治療の経過
免疫療法を3回行った後に定期検診(尿検査)を受けたところ、 潜血(-)タンパク(2+)となり頻尿も改善した。
その後も治療を1年間継続し、現在ではタンパクも(-)に転じている。
主訴
元々鈍い痛みがあった上にギックリ腰を起こし、動けない程の激しい腰の痛み。年に2 ~ 3回はギックリ腰になる。
初診時の所見
腰を動かすと激痛が走り、ひとりで立って歩くことが困難。
腰椎L2 ~ L5まで後弯あり。
その両側の硬結が強い。
後弯部が当たる為、皮膚表面が茶褐色に変色。
はり灸治療の経過
ギックリ腰の痛みは1回の施術で緩解したが、腰椎後弯により再び起こる可能性はある。
本人の希望もあり、後弯に対する施術を継続。
5ヶ月経過後、後弯、皮膚表面の変色、共に消失。
2年半経つがギックリ腰は全く起きていない。
考察
ギックリ腰は1 ~ 数回で治癒することがほとんどだが、その原因が改善されなければ、繰り返し起こしてしまう可能性は高い。
主訴
交通事故による激しい頚の痛み、両腕の痛みと痺れ 時に腰の痛み
事故の経緯
横断歩道を渡っている際、後方から自動車にぶつけられ、前方に転倒。
全身を強く打ちつける。
救急車にて病院に搬送される。
現代医学的所見
画像診断(CT・MRI)では異常がない為、痛みは続いていたが、特に治療を受けず帰宅。
初診時の所見
交通事故から3ヶ月後に来院。
頚側面(特に右側)の硬結が著しく、肩~腕の筋緊張が強い。
頚を動かすと激しい痛みが走り、腕の痺れが強くなる。
また、上腕二頭筋筋腹中央に大きなコブがあり触れるだけでも痛む。
はり灸治療の経過
施術後は、痛み・痺れ共に消失するが、翌日には戻ってしまう。
治療を重ねるごとに効果が持続するようになり、程度も軽減されてきた。
6ヶ月後には上腕のコブは小さくなり、痛みと痺れが少し残っているものの日常生活には支障がなくなった。
考察
整形外科3ヶ所に受診したが、いずれも異常なしと帰された患者の精神的ダメージは大きい。
交通事故の恐怖と医師の理解が得られなかったことで、不安・不眠などの精神的症状も現われてしまい、精神安定剤を服用するようになってしまった。
現在では、精神面の改善のために、免疫療法も行っている。
主訴
心下部痛、下腹部痛、嘔気、微熱
現代医学的所見・治療
大腸内視鏡にて、横行結腸に憩室が数個見つかる。
入院し抗生物質の点滴を受けた。その後も痛みが頻発するので、入退院をくり返していた。
はり灸治療の経過
免疫療法4ヶ月後には、入院せずに済むようになった。半年後には、時々軽い痛みを心下部~下腹部に感じる程度になり、1年後には、症状はほとんど出なくなった。
主訴
排尿時の違和感(時に血がまじる) 排尿後の渋るような痛み
現代医学的所見
血液検査にてPSA:7 以前から少しずつ数値が上がっていたが放置していた。
初診時の所見
脈の乱れや腹部反応は多少現れているが、特に目立った徴候はなかった。
はり灸治療の経過
免疫療法を半年間続けPSAは4まで下がったが、自覚症状はあまり変化がないとのこと。1年後PSAは1.5まで下がり自覚症状もほぼ消失した。
PET-CTを撮影したところ、前立腺がんは消失していた。
その後、3年以上免疫療法を続けているが、自覚的な症状は何も出ていない。現代医学的な検査はPET-CT撮影後は行っていないが...。
主訴
週に3~4回おねしょをする。
症状の経緯
おむつが取れてから1年ほどおねしょはなかったが、ある日を境に毎日おねしょをするようになってしまった。
現代医学的治療
小児科で薬を処方してもらい、長期間服用しているが、ほとんど効果がない。
はり灸治療の経過
治療開始から少しずつおねしょの回数は減少。1年経過後には、月に1回程度になった。
考察
学年が上がると、自律神経の影響が大きくなり、神経過敏になりやすくなるため、低学年のうちに治したいものである。
主訴
寝返りや不意の動作で右臀部に痛みが走る。
初診時の所見
右臀部の深部に硬結を触れるが、むしろ左臀部に硬結が強い。
体幹部を回旋し保つことが多く、腰椎側弯を生じ、骨盤のズレが認められる。
はり灸治療の経過
はりに対して敏感な体質であるため、臀部以外ははりを当てるだけの施術となり、腰臀部の浅い部位の左右バランスを整えることを重視。治療回数を増すごとに少しずつ改善し、7回の施術で治癒した。
主訴
立っているだけでも右腰部から臀部まで重い痛みがある。
現代医学的所見・治療
MRIによれば、L4・L5が前方にすべり、神経根圧迫が強いため手術を勧められる。鎮痛剤と湿布が処方された。
初診時の所見
L3はむしろ後方にズレている。L3棘突起が突出している。腰部脊柱起立筋は左側の方が硬い。うつ伏せでも座っていても右腰部~臀部へ重い痛みが走りじっとしていられない。
鍼治療の経過
治療開始3ヶ月後には、座っているときの痛みは消失した。6ヶ月後には、歩いていても痛みは出現せず、旅行にも行くことができた(1万歩以上歩けた)。1年後には、軽い運動をすることもできるようになった。運動時痛むこともあるがすぐに消失している。日常生活は何の問題もなくできている。
主訴
腰部全体に鈍痛が続き、起床時は仙腸関節部、夕方には胸腰推移行部に鋭い痛みが出現する。特に立っていると痛みが強くなる。
初診時の所見
L3・L4は後弯、L5は前弯が強い。左脊柱起立筋と左右中臀部の硬結が強く、仙腸関節に歪みあり。立位難。
はり灸治療の経過
3回の治療で、当初の痛み10が3になった。痛みというより張りに変わったとのこと。
L3~L5の前後弯も減少し、左右の脊柱起立筋のバランスも整った。
4回目以降は、コレステロール値と尿酸値が高いため免疫療法も行っている。
主訴
慢性腰痛に加え、前傾や回旋の姿勢をとると、腰部から臀部にかけて激しい痛みが走る。
現代医学的所見
MRIによればL1~S1までの椎間に狭小化がみられ、腰椎も前後左右への動きが大きい。腰椎椎間板ヘルニアとの診断。
初診時の所見
腰を伸ばすと痛みが走るため、仰向けでベッドに横になることができず、歩行時に身体の向きを少し変えるだけでも辛そうであった。
はり灸治療の経過
3回ほど治療すれば、日常生活はできるくらいには回復するが、庭仕事など少し無理をすると同じような状態に戻ってしまう。くり返し治療を行い、体幹部の回旋以外は痛みが出なくなった。
主訴
頚椎椎間板ヘルニア手術後の頸部の痛み
現代医学的所見・治療
C5・C6・C7・T1の椎間板ヘルニアと診断。
飛び出した髄核を切除してしまったため、頚を動かすと手術前とは別の種類の強い痛みがあった。
手術後のMRIでは、C5~T1の間の椎間はすべて無くなっていた。
はり灸治療の経過
治療回数を重ねる毎に、頚の可動域は少しずつ広がっていった。
3ヶ月間、間隔を詰めて施術した結果、コルセットを外すことができ、痛みに苦しむことなく日常生活を送れるようになった。
考察
はり灸治療を行うことで、髄核が出来る速度が増すという報告があり、まさしくその一例である。
足・膝
主訴
左膝外側の歩行時の痛み、就寝時のうずき、時に熱感・腫れ
現代医学的所見・治療
膝レントゲンにおける骨の異常なし。
低周波治療、湿布を投薬されるが改善されず。
初診時の所見
腰椎L4・L5左脊際と左仙腸関節部に硬結あり。
左殿部の硬結は非常に強い。
硬結部位の痛みはない。
左膝外側には熱感と腫れが少々あるものの、主訴の膝痛は仙腸関節の歪みから生じたものと判断した。
はり灸治療の経過
仙腸関節に対する施術を3回行い完治した。
左膝には全く施術せず。
考察
痛む部位が原因でないことも多く、痛みや腫れなどのある患部のみしか診ない現代医学にはいささか疑問が残る。
主訴
右膝が急に痛くなり、歩けなくなった。
現代医学的所見・治療
整形外科では変形性膝関節症と診断。手術が必要とのこと。
とりあえず、鎮痛剤や湿布の処方を受けた。
初診時の所見
右膝周囲の腫れや硬結が非常に強かった。しかし、腰の痛みなどはなし。
はり灸治療の経過
腰臀部の左右バランスを調整した。右膝への施術はほとんど行わず。
2回の治療で右膝の痛みはほぼ消失し、普通に歩行できている。
考察
仮に膝関節に変形があったとしても、それが膝の痛みの直接の原因ではないことも多い。画像診断に触診を加え、痛みの原因を総合的に取り除きたいものである。
全身
現代医学的所見・治療
糖尿病、高血圧症、共に軽度であるが、糖尿病薬と降圧剤を服用中。
食事療法(カロリー制限)、運動療法(毎日10,000歩)も行っている。
空腹時血糖174、 Glyco Hb A1c 7.0、 血圧134 / 77mmHg
はり灸治療の経過
免疫療法開始から6ヶ月で、空腹時血糖115、 Glyco Hb A1c 6.1、 血圧120 / 70mmHgとなった。
糖尿病薬を1/3量、降圧剤を1/2量に減量しても、数値は順調に下がり続けている。
主訴
不安・不眠・倦怠感・食欲不振、時に耳鳴り。
激しい動悸・過呼吸・手足の痺れが発作的に起きる。
現代医学的所見・治療
心療内科にて精神安定剤などを投薬される。
服用時には一時的に症状は緩和されるが、改善していくことはなかった。
はり灸治療の経過
免疫療法開始から1ヶ月経つと、発作が起きそうで起きなくなった。
その後、徐々に症状は緩解し、4ヶ月後には仕事に復帰できるまでに回復した。
現代医学的の治療経過
精子運動率がやや低い以外は、夫婦で検査結果に異常なし。
クロミットの服用・人工授精も行ったが妊娠できなかった。
はり灸治療の経過
当院初診時には、基礎体温の2層性は不明瞭で生理周期も不安定であった。
現代医学との併用を希望していたため、はり灸治療との同時進行をすることにした。
しかし、クロミットを使用した次の生理周期は返って乱れてしまい、基礎体温の2層性もさらに不明瞭になってしまったため、 現代医学的な治療はすべて中止してもらった。
この頃から夫もはり灸治療を開始し、その6ヶ月後めでたく妊娠するに至った。
考察
このように、現代医学的な治療が合わない場合もあり、それが明瞭なときには、現代医学的治療は中止し、 はり灸治療や漢方(湯液)治療に切り替えることが望ましいと思われる。
現代医学の治療経過
左卵管は閉塞、右卵管は子宮の裏側に廻り込んでいるため、 自然妊娠は難しいとされ、体外(顕微)授精を行うことになった。
はり灸治療の経過
体外受精予定日の4ヶ月前から治療開始。
着床しやすくするための子宮内環境を整える治療を行った。
その結果、体外受精1回目で妊娠。
出産直前まで治療継続し男の子を出産した。
考察
はり灸治療は、現代医学のサポートをすることでも大きな役割を果たしている。
また、妊娠中にはり灸治療を継続することで、流産しやすい人も無事出産に至るケースも少なくない。
現代医学の治療経過
これまで人工授精を7回行ったが、1度も妊娠に至らなかった。
夫婦共に検査結果に異常なし。
はり灸治療の経過
6ヶ月間治療継続。
治療開始後1回目の人工授精に成功した。
考察
はり灸治療を行うとなぜ妊娠しやすくなるのかは定かではないが、 卵巣・卵管・子宮内のさまざまな因子に働きかけながら、妊娠しやすい環境を作り出しているものと考えられる。
その環境を維持し、最も良いタイミングで人工授精が行われれば、妊娠率は高くなるわけである。
現代医学の治療経過
子宮内に筋腫がすっぽり収まっている状態で貧血も強いため、ホルモン注射で小さくしたのちに手術することになった。
その際に、子宮頸部に軽度の異型細胞の存在が明らかになった。
はり灸治療の経過
治療開始4ヶ月後に子宮筋腫の手術。その後7ヶ月で妊娠したが1週間で流産。さらにその4ヶ月後妊娠し男児を出産した。
考察
異型細胞が見つかっても、免疫療法をくり返し行うことで異型細胞は消失し、無事出産される方も少なくない。
現代医学の治療経過
子宮内膜症の診断を受けたが治療は行わず。
はり灸治療の経過
治療開始7ヶ月後妊娠。その後も治療を継続し、安産灸を加えながら男児を無事出産した。
考察
第2子以降の妊娠がしにくい場合は、腹部に特徴的な反応(湿の偏りや血虚など)が出ていることが多い。子宮内膜症を考慮しながら、腹部が整うことによって、妊娠が確認できた症例である。
現代医学の治療経過
卵巣ホルモン値が低いため、プレマリンとルトラール服用。
さらに、セキソビットとチラージンSを追加服用。
それでも排卵確認できないため、排卵誘発剤の注射を受け、タイミングを取るも妊娠できず。その後、卵管造影検査を受けるが異常なし。セキソビットをクロミットに変更。人工授精3回行うが妊娠の確認はできなかった。
はり灸治療の経過
治療開始時の生理周期は、直近10回では34~54日(平均42.4日)。
治療開始から徐々に生理周期は短くなり、1年4ヶ月後妊娠に至った。
このときクロミット等の薬は一切中止しており、生理周期は30日となっていた。
考察
検査値に基づき、薬を服用し数値が正常化しても妊娠に至らないことも多い。この症例では生理周期が短くなり、子宮内環境も大きく変化したものと思われる。
主訴
皮膚の痛み・かゆみ、眼じりのかゆみ、アレルギー性の空咳
症状の経緯
アトピーは幼少の頃から全身に出ており、ステロイド療法、漢方薬療法、温泉療法など、さまざまな治療法を行ってきた。
その結果、成人した頃には全身にあったアトピーは、上半身にほぼ限局された。
初診時の所見
顔(こめかみ、眉間、頬、顎など)に発赤、熱感が強く、特にこめかみは腫脹もある。頚や肘は角化が進み、黒ずんできている。
鎖骨上下部、肩から背部にかけても、発赤隆起が点在している。手首や手の甲にも部分的に発赤あり。
この時点では、他の療法はすべて中止している。
はり灸治療の経過
免疫療法開始後1ヶ月で咳が止まり、3ヶ月でこめかみの腫脹が消失した。
10ヶ月後には、眼じりのかゆみは少し残っているものの、顔、手首、手の甲のアトピーはほぼ消失した。
1年後には、頚の角化が緩解し発赤とかゆみを少し残す程度となった。
主訴
全身の発赤、かゆみ
症状の経緯
2歳からアトピーの症状が強くなり、ステロイドの軟膏を常用していた。
薬をつけると発赤、かゆみは消失するが、一時的なものであった。
初診時の所見
アトピーは全身的に出ているが、特に肘周囲、大腿内側、顔(額と頬)に発赤が強い。
はり灸治療の経過
治療開始後1ヶ月で、顔の発赤、かゆみはほぼ消失し、全身的にかゆい部位が減少した。
1年後にはステロイド剤をつけることはほとんどなくなり、発赤やかゆみは殿部などの下着接触部に限局されてきた。
主訴
かゆみ、乾燥
膝裏、肘周り、頚側面のかゆみが強い。
現代医学的治療
ステロイド剤を含めた数種類の塗布薬が処方されている。日によって症状の程度が異なるので、その日に応じてステロイド剤の弱いものから強いものの中から選んで塗布してきた。
はり灸治療の経過
免疫療法を半年間続け、かゆみも乾燥も激減している。ステロイド剤を塗布する機会も少なくなった。現在では、治療間隔を空けながら継続している。